まちむら

県内各地を舞台に、まちやむらの風景、人々の暮らしなどが描かれた作品

タイトル著者出版者内容
おばあさんの村中野重治岩波書店坂井郡高椋村(現坂井市丸岡町)を舞台にした童話「おばあさんの村」や、福井地震を綴った「地震のはなし」を収録。
表題作は小学1年生の三吉が、おばあさんの生まれた熊堂まで、ひとりでお使いに行く話で、片道5㎞の道のりを途中怖い思いをしながらも、歩きとおしていく。
梨の花中野重治新潮社坂井郡高椋村(現坂井市丸岡町)での少年時代を描いた自伝的小説。
美しい自然に暮らす農村の人々の生活が生き生きと描かれている。丸岡のほか、福井中学へ通う様子も描かれている。
第11回読売文学賞受賞。
夏の栞佐多稲子新潮社中野重治に小説家として見出された佐多稲子が中野亡きあとに発表した追悼エッセイ。入院から一本田での埋葬の場面まで、中野との永遠の別れが綴られている。
第25回毎日芸術賞受賞。
高浜虚子苦楽社森田愛子をモデルにした小説。
愛子の住む三国を舞台に、虚子が詩情豊かに愛子の美しさ、はかなさを描いている。
あちん雀野日名子メディアファクトリー著者の地元・福井を舞台にした怪奇小説集。
福井空襲で人々が熱から逃れるためにお堀に飛び込んだという話を元にした「あちん」は、第2回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞。
アジアの砂多田裕計講談社海、セレベス島、チモール、東京そして福井を舞台に、「戦争」に翻弄される一人の青年と、その家族を描いた長編。装丁は画家の堀文子。
著者自身も実際に福井空襲に遭遇しており、B29の攻撃によって福井市街が焦土となる様子が極めてリアルに描かれている。
俺たちの行進曲有明夏夫文藝春秋昭和29(1954)年の福井を舞台に、音楽部に在籍する越前高校3年生3人組が遊びと恋愛と音楽に熱中し、高校生活最後の夏を謳歌する青春小説。空襲と地震という二度の災害から復興を遂げた福井の原風景を描く。
1985年、渡辺祐介監督で映画化されたが、劇場未公開。 
女の河 平岩弓枝文藝春秋日本とイタリアを舞台に男女の純愛を描いた小説。
作品の後半で、二人は死に場所を探して越前岬までやってくる。しかし女が病に倒れ、かえって死にきれなくなり、上志比(現永平寺町)にある友人の実家に世話になる。
荒野の雲雀(『小説芭蕉』)多田裕計学習研究社著者自身の体験をもとにした自伝的小説。多田は故郷福井に疎開したが、空襲で家を失い、妻の実家のある三国に疎開。奮闘の末に再建した自宅が1948(昭和23)年の福井地震でまたもや倒壊してしまう。空虚感で茫然とするなか、一筋の光を見出し、再出発を図る。
メロディ・フェア宮下奈都ポプラ社大学を卒業した結乃は、田舎である福井に戻り、地元のショッピングモールで化粧品売り場の美容部員として働く。仕事や家族と向き合いながら、成長していく姿を描いた物語。
よつ葉のエッセイ俵万智河出書房新社著者初のエッセイ集。
自身の名前と同じ「田原町」のエピソードや、高校時代の電車でのひとコマなど、大好きなふるさと福井のことを綴っている。
街道をゆく18司馬遼太郎朝日新聞社全国の歴史街道を歩いた紀行随筆集のうちの1冊。
大野の宝慶寺、勝山の平泉寺、永平寺、一乗谷、三国、陶芸村などを巡っている。
加奈子 小山内美江子旺文社大正末から戦後まで、大野の造り酒屋に引き取られた加奈子の半生を描いた小説。
御清水、七間朝市、柳廼社など大野市内の各所が登場する。
九十八の旅物語俵万智朝日新聞社『週刊朝日』に2年間連載した著者のエッセイ・短歌と平地勲の写真による旅の記録。
福井県では、大野の朝市、敦賀のおぼろ昆布職人、足羽山の田楽などが登場する。
胸より胸へ山崎朋子筑摩書房著者初のエッセイ集。
「ふるさと今昔」では、母の郷里である大野を自分のふるさととし、清水や雪の思い出を綴っている。
越前の女石川真介東京創元社祖母は座礁した駆逐艦乗組員を、母は福井地震で負傷した男性を身を挺して救出した。娘の亜紀は、東尋坊で夫の死体が発見される。
一乗谷、永平寺、東尋坊、芦原温泉、大野の朝市、紫式部公園など、福井を代表する観光名所がいくつも登場する。
煙か土か食い物舞城王太郎講談社福井県出身の覆面作家・舞城王太郎のデビュー作。
物語に登場する「西暁町」は架空の町だが、国道365号線が通っていることや停車駅の位置関係から、南越前町今庄あたりと推測される。
第19回メフィスト賞受賞。
栃の実(新編泉鏡花集 第9巻)泉鏡花岩波書店明治28(1895)年に今庄、板取、栃の木峠を経由して上京したのを回想した随筆。この年夏、福井県は大水害に見舞われたが、武生で見送ってくれた車夫、虎杖で駕籠を都合してくれたこと、栃の木峠での茶屋の娘の親切に情けを感じている様子が見て取れる。また、武生の水と女性の美しさを賞賛している。
101個目のレモン俵万智文藝春秋著者が30代の頃にに記したエッセイ集。
武生のまちに触れた「武生再発見」や、高校時代の思い出を綴った「はじまりの失恋」「ふるさとの仲間」を収録。
街道をゆく4司馬遼太郎朝日新聞社全国の歴史街道を歩いた紀行随筆集のうちの1冊。
北国街道とその周辺として、敦賀、木ノ芽峠、武生盆地を訪れている。
解夏さだまさし幻冬舎収録作「サクラサク」は、父親が認知症になったのをきっかけにバラバラだった家族の絆が再生するストーリーで、久々子湖にほど近い美浜町早瀬が舞台となっている。平成26(2014)年に映画化され、県内でもロケが行われた。
宣戦布告麻生幾講談社原子力発電所が並ぶ敦賀半島沖に北朝鮮の潜水艦が漂着し、武装集団が上陸した。彼らの目的は何か。有事の際の国の在り方を問うた迫真の1冊。
十津川警部「故郷」西村京太郎祥伝社死体で発見された部下・片山の無実を信じ、十津川警部は彼の故郷若狭小浜を訪ねる。片山は一年前にお水送りの神事で起きた市議殺人事件を調査していたことが分かる。
お水送りが行われる鵜の瀬や、小浜港、三丁町など小浜市内が描かれる。
はなれ瞽女おりん水上勉新潮社盲目の旅芸人おりんは脱走兵の平太郎を兄のように慕い一緒に旅をする。しかし平太郎は捕まり、二人は引き離されてしまう。
おりんと平太郎が再会する場所として、三方石観音が登場する。
町をかついできた子山本和夫東都書房著者の少年時代、町からやってきた子から受けた新鮮な体験が基となった児童文学作品。古い文化と風習をもつ小さな村に都会の風をもたらす少年がまきおこす様々な事件を通して、子ども達の成長を描く物語。著者の出身地である明通寺門前の松永村がモデルとなっている。
若狭殺人事件内田康夫光文社若狭地方を舞台にしたミステリー小説。
日向の水中綱引きが行われている最中に水死体が発見され、事件が展開していく。