2018(H30)年度終了企画展示

山川登美子と明星歌人展

開催概要
開催期間2019年1月26日(土)~2019年4月7日(日)
会場福井県ふるさと文学館
内容生誕140年没後110年を迎えた山川登美子の作品や軌跡、与謝野晶子ら同時代に活躍した歌人とのつながりを紹介します。
関連ファイル山川登美子と『明星』歌人展(pdf 1,915kb)
山川登美子展示一覧(pdf 166kb)

第一章 山川登美子の生涯と作品


山川登美子は、浪漫的な作風で当時若い世代から圧倒的に支持された『明星』を代表する歌人の一人です。与謝野鉄幹は登美子について「短歌革新期の女詩人として女史の名は必ず不朽であろう」と述べています。
登美子は、明治12(1879)年、遠敷郡竹原村(現小浜市千種)に生まれました。山川家は代々小浜藩主酒井家に仕えてきた上級武士の家柄であり、父親の貞蔵は武士の気質と和歌を嗜む風雅な一面を兼ね備えていました。
登美子は小学校卒業の頃から生花、琴、和歌などを学び、大阪の梅花女学校に進学して英語も学びました。この頃から『源氏物語』など日本の古典文学に興味を持ち、樋口一葉などの著名作家の作品にも広く親しむようになりました。明治30(1897)年12月に雑誌『新声』に短歌一首を初めて投稿し入選、歌人としての道を歩み始めました。激しい情熱を秘め、恋と歌に生きたその生涯を紹介しました。

第二章 山川登美子と『明星』歌人


詩歌の革新運動を推進していた与謝野鉄幹は明治32(1899)年に東京新詩社を創立、翌年4月に機関紙『明星』を創刊しました。正岡子規の根岸短歌会が写実主義を提唱したのに対し、『明星』は浪漫主義を掲げ当時の歌壇を二分しました『明星』は山川登美子や与謝野晶子、増田雅子、玉野花子など女流歌人の活躍の場となるとともに、石川啄木や北原白秋、高村光太郎などを輩出しました。また、美術家の一条成美や藤島武二らが『明星』の紙面を飾りました。
明治41(1908)年、浪漫主義に代わる作風を目指した北原白秋ら若手が新詩社を脱退し、『明星』は11月、100号をもって廃刊しました。ここでは、登美子とゆかりの深い『明星』歌人を紹介しました。




秋季企画展「没後30年 桑原武夫展」

期間: 平成30年11月3日(土・祝)~12月24日(月・休) 観覧無料
内容:フランス文学者・評論家の桑原武夫は、1904年に敦賀町(現・敦賀市)に生まれ、幼少期を敦賀で過ごしました。スタンダールやルソーに関する翻訳・研究、日本文化に関する評論で活躍しました。登山家としても活躍し、パキスタンのチョゴリザ山への世界初登頂を達成しました。 桑原武夫の没後30年を機に、桑原武夫とふるさと福井のつながりや業績を紹介します。


















第一章 福井とのつながり

 桑原武夫は1904年5月10日、父隲蔵、母しんの長男として敦賀町蓬莱(現・敦賀市)の母の実家で生まれました。桑原家は代々製紙業に従事しており、母方の打它家は江戸時代に敦賀第一の家格を保持した豪商でした。父は日本において東洋史学を樹立した学者の一人でした。

 武夫の誕生後、父が高等師範学校の教授を務めていた東京に移りましたが、1907年、父の留学のため武夫は敦賀にある打它家で育てられました。1909年に父が帰国し京都帝国大学教授に就任すると、一家は京都へ移りました。
 桑原武夫にとって最初の外的世界、それはふるさと敦賀した。ここでは、桑原武夫と福井とのつながりを紹介しました。


 

第二章 多彩な業績

 桑原武夫は京都帝国大学でフランス文学を専攻し、スタンダールやアランをいち早く日本に紹介しました。1946年、現代俳句を批判した「第二芸術」を発表し俳句界に衝撃を与えるなど、文学論でも注目を浴びました。
 1948年には、京都大学人文科学研究所教授となり、人文科学における共同研究の草分けとして『ルソー研究』などを完成させました。その後、同所長を務め共同研究を通じて梅棹忠夫、梅原猛、鶴見俊輔など後進を育成し、新京都学派の中心として活躍しました。
 また、日本学術会議副会長、文部省の文明問題懇談会会長や現代風俗研究会会長を務めるなど、文化振興に貢献しました。ここでは、桑原武夫の多彩な業績を紹介しました。



第三章 山への挑戦

 桑原武夫は「未知の探検によって自ら新しい道を拓きたい」という思いを抱き、登山家として名を馳せる今西錦司や西堀栄三郎らとともに三高時代より登山に熱中しました。
 1925年3月には、南アルプスの仙丈岳、間岳、北岳の積雪期初登頂を成し遂げました。同年7月の北アルプス別山から剣沢への下りでは、腹部を負傷するなど、命を落としかけることもありました。その後も、尾上郷川を遡り白山に登山、フランス留学中もスイスのメンヒやグロース・グリューンホルンに登りました。1958年、京都大学学士山岳会を率いチョゴリザ初登頂を成し遂げました。ここでは、パイオニア精神にあふれる桑原武夫の登山家としての側面を紹介しました。


夏季企画展「スポーツと文学」

期間: 平成30年7月21日(土)~10月14日(日) 観覧無料
内容: 明治時代を代表する文学者の一人・正岡子規が「野球(のぼーる)」という雅号を用いていたことはよく知られています。スポーツ好きの作家やスポーツをテーマにした物語は数知れません。
本展では、草野球に没頭した鎌倉文士(久米正雄や大佛次郎)などスポーツに熱中した作家、佐藤多佳子『一瞬の風になれ』などスポーツを描いた小説、壁井ユカコ『2.43清陰高校男子バレー部』など福井を舞台にしたスポーツ文学を紹介します。
また、東京オリンピックの表彰台(レプリカ)に立ってメダリスト気分を味わうなど、スポーツの世界を体験するコーナーも設けます。
9月29日から「福井しあわせ元気」国体・障スポ大会が開催されます。この機会に、スポーツの魅力やスポーツ文学の世界を存分に感じて下さい。

主な展示資料
 正岡子規「ベースボール」短冊、あさのあつこ「白軍の」原稿、
 壁井ユカコ『2.43清陰高校
 男子バレー部』執筆関連資料、高橋尚子マラソンシューズ(サイン入り)など
 ※会期中、一部資料の展示替えを行います。

第一章 作家とスポーツ

日本では、古来より貴族の遊びである蹴鞠や、神事である相撲などのスポーツが親しまれてきました。明治時代には欧米からベースボールなどの新しいスポーツが外国人教師によって伝えられ、学生たちの間に広がっていきました。学生時代にベースボールと出会い熱中した正岡子規は、国内初の野球コラムの連載や野球用語の翻訳を行い、普及に尽力しました。
このほか、草野球の熱戦を繰り広げた久米正雄や大佛次郎など鎌倉文士たち、ボディビルやボクシングなど様々なスポーツに挑戦した三島由紀夫など、スポーツに熱中した作家を紹介しました。




 
第二章 スポーツをテーマにした物語

作家はスポーツというテーマに創作意欲をかき立てられ、陸上、野球、サッカー、スケートなど、様々な競技を描いてきました。
野球を描いたあさのあつこ『バッテリー』、陸上競技を描いた佐藤多佳子『一瞬の風になれ』、飛び込み競技を描いた森絵都『DIVE!!』など、スポーツ文学は幅広い世代に親しまれています。ここではスポーツを描いた読者を魅了する物語を紹介しました。






第三章 福井を描いたスポーツ文学

 福井を扱ったスポーツ文学として、高校バレーを描いた壁井ユカコ『2.43 清陰高校男子バレー部』や高校野球を描いた有明夏夫『俺たちの行進曲』などがあります。
 福井を描いた作品には、福井の風景や言葉が登場人物とともに生き生きと描かれています。ここでは、福井を舞台にして若者の青春を描いたスポーツ文学を紹介しました。






 
体験コーナー


 さまざまな競技を体験できる4つのコーナーを作り、楽しんでいただきました。
・競技をしている選手の目で360度の映像を体験できるVR映像視聴コーナー
・ヨーロッパ生まれの障害者スポーツボッチャを実際に体験できるコーナー
・1964年東京オリンピック表彰台(レプリカ)に乗って、メダリス気分を体験できるコーナー
・実物大イラストの横でジャンプしてバレーボールネットの高さ2.43mを体験するコーナー



春の企画展「ふくいのお宝―ふるさと文学館コレクション展」

期間: 平成30年4月21日(土)~6月24日(日) 観覧無料
内容:福井を代表する作家三好達治、中野重治、高見順、水上勉、津村節子の5人は、日本の近現代文学を代表する作家でもあります。本展では、この5人の作家と作品の数々は、まさに福井が誇る宝です。
本展では、自筆原稿や愛用品、執筆関連資料など、開館3周年を迎えたふるさと文学館がこれまでに収集してきた5人に関する資料を一堂に展示し、その業績と作品の魅力をあらためて紹介します。

主な展示資料
 三好達治愛用のカバン、中野重治「『文学者に就て』について」原稿、高見順従軍時の
 手帳、水上勉「父と子」装画(画:司修)、津村節子「炎の舞い」原稿など


三好達治

 三好達治は1944年から5年間、三国に滞在しました。『故郷の花』『砂の砦』などを発表した他、三国高校や大野高校の校歌、県民歌を作詞しました。肉筆の歌集『春愁三章』や書幅「師よ萩原朔太郎」などを展示しました。









中野重治 

 中野重治は高椋村(現・坂井市)に生まれました。自身の少年時代を題材にした『梨の花』により読売文学賞を受賞しました。原稿「『文学者に就て』について」や色紙などを
展示しました。










高見順
 
 高見順は三国町(現・坂井市)に生まれました。故郷を詠った詩「荒磯」が収録された『死の淵より』で野間文芸賞を受賞しました。従軍時の手帳や万年筆など愛用品などを展示しました。










水上勉
 
 水上勉は本郷村(現・おおい町)に生まれました。『越前竹人形』や『若狭幻想』など、福井を描いた作品を数多く発表しています。原稿「雁の死」や水上勉「父と子」挿絵(画:司修)などを展示しました。











津村節子

 津村節子は福井市に生まれました。『遅咲きの梅』『花がたみ』『絹扇』など福井の女性を描いたふるさと5部作を発表しています。原稿「炎の舞い」やミチヨチャンノエニッキなどを展示しました。

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