夏季企画展「角野栄子展~魔女とおばけの世界へ~」
開催期間 | 2022年7月2日(土)~2022年9月4日(日) |
---|---|
会場 | 福井県ふるさと文学館 |
内容 | 『魔女の宅急便』や40年以上続く人気シリーズ「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」を中心に、角野栄子さんの作品世界やその軌跡を紹介します。魔法とユーモアがあふれる角野ワールドをご家族みなさんでお楽しみください。 |
チラシ・資料一覧 | 角野栄子展チラシ表面(jpg 373kb) 角野栄子展チラシ裏面(jpg 631kb) |
第1章 角野栄子の旅と物語
角野栄子さんは、1935年東京深川に生まれました。5才の時に母親を亡くすと、江戸っ子の父親は独特の語り口で昔話を話してきかせました。「どんぶらこっこう すっこうこう どんぶらこっこう すっこうこう」。父親の言葉のひびきは、角野さんの独特の音感やリズム感を生み出す土壌となりました。
早稲田大学の英文学科を卒業し結婚した後は、自費移民としてブラジルへわたり、2年間滞在しました。帰国後、大学時代の恩師である翻訳家の龍口直太郎のすすめで、1970年、ブラジル体験をもとに『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』を書き、作家デビューしました。書くことが好きだと気付いた角野さんはそれから、250冊以上の本を発表し、100冊以上の本の翻訳を手掛けています。
12歳の娘・リオさんが描いた魔女のイラストに着想を得て生み出された『魔女の宅急便』(福音館書店)は野間児童文芸賞などを受賞。同作は、1989年にはアニメ映画化、2014年に実写映画化されました。また、2016年には、疎開中の体験を描いた『トンネルの森 1945』で産経児童出版文化賞、2018年には、優れた児童文学の作家に贈られる国際アンデルセン賞・作家賞を受賞しています。第1章では、角野栄子さんの軌跡と多彩な著作を紹介しました。
第2章 『魔女の宅急便』の世界
角野栄子さんの「魔女の宅急便」は1982年4月から翌年3月にかけて、月刊誌『母の友』に1年間掲載されました。『母の友』連載時は、母親だけでなく父親も魔法使いという設定でしたが、1985年に発行された単行本『魔女の宅急便』では、父親は民俗学者という設定に変わり、キキが魔女になりひとり立ちした理由などが大幅に加筆・修正されました。
キキはコリコの町で、ほうきで飛べるというたった一つの魔法を持って、お届け屋を始めました。人々の思いをのせて、春の音や、カバのマルコさん、空色のかばん、花嫁のベールなどいろいろなものを運びます。
コリコの町に降り立った時に13歳だったキキは成長し、2009年に刊行された『魔女の宅急便 その6』では双子の母親になりました。6巻で完結しましたが、その後、特別編が出版され、2022年1月には『魔女の宅急便特別編その3 ケケと半分魔女』が刊行されています。
第2章では、『魔女の宅急便』の物語を、その世界を彩ってきた林明子さん、広野多珂子さん、佐竹美保さんの原画とあわせて紹介しました。
第3章 角野栄子とおばけたち
角野栄子さんの「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」は、1979年に『スパゲッティがたべたいよう』から始まり、40年にわたり刊行が続いています。多彩なキャラクターや意表をつく展開、リズミカルな言葉で読者を魅了し、世代を超えて読み継がれてきました。
アッチは、おいしいものがだいすきな小さなおばけで、町いちばんの高級レストランの屋根裏に住んでいます。空を飛び、鍵穴からはいることもできます。登場するおばけはこわくて、おそろしい存在ではありません。危なっかしい行動にひやひやすることもありますが、おいしいものを作り、笑顔や幸せを運んでくれます。
シリーズの出版が続く中で、とこやさんに住んでいるおしゃれなおばけのコッチ、歌の好きなおばけのソッチ、ドラキュラの孫むすめドララちゃんなどのキャラクターも登場しました。2022年3月にはシリーズ45作目が発行されています。第3章では、角野栄子さんのおばけのアッチの世界を、佐々木洋子さんが彩った原画とあわせて紹介しました。
第4章 魔女からの手紙、魔女への手紙
1997年にポプラ社から発行されたこの『魔女からの手紙』は、20名の国内外の画家が魔女というテーマで絵を描き、それぞれの絵にあわせ角野栄子さんが想像をめぐらせ、手紙形式で物語をつけました。通常の絵本づくりでは、作家がつくった物語にあわせ、画家が絵を描きますが、逆のつくり方にチャレンジしています。2008年には、続編となる『小さな魔女からの手紙』も刊行されました。
第4章では、いろいろな魔女から届けられたたくさんの手紙を紹介しました。また、魔女からの手紙を読んで、来館者の皆様にも魔女へあてて手紙を書いていただきました。
魔女になってお届けしよう★
『魔女の宅急便』のキキのように、ふるさと文学館周囲のお届け先に、荷物(シール)を届けるイベントを開催しました。荷物を届けたら、文字をひとつもらい、言葉を完成させると、角野栄子さんの書下ろしイラスが掲載された缶バッジをプレゼントしました。
魔女のワンピース・まじょのほうき
洋服の端切れなどを持ちより、魔女のワンピースを仕上げました。また、たくさんの方がほうきづくりにチャレンジされました。