越前奇談怪談集(5)夜叉ヶ池
マット・マイヤー氏のイラストと現代語訳
宅良慈眼寺(南越前町)は曹洞宗の寺院で、開基の天真和尚は通幻和尚の弟子である。
昔、嫉妬深い女が夜叉となり、今庄(南越前町)の奥の山中の池で数百年間生きていた。天真和尚の徳が盛んであることを聞いてよろこび、女に化けて和尚のもとに来て慈悲を乞うた。和尚が池の辺りまで行き、石の上に座って仏の教えを解き示したところ、女は夜叉の姿を脱して解脱することができた。
この恩に報いるため、池から慈眼寺に龍灯を捧げることが今も続いているという。そのため、この池を夜叉ヶ池と言い、今も辺りには座禅石がある。また、天狗松と呼ばれるものもある。
昔、嫉妬深い女が夜叉となり、今庄(南越前町)の奥の山中の池で数百年間生きていた。天真和尚の徳が盛んであることを聞いてよろこび、女に化けて和尚のもとに来て慈悲を乞うた。和尚が池の辺りまで行き、石の上に座って仏の教えを解き示したところ、女は夜叉の姿を脱して解脱することができた。
この恩に報いるため、池から慈眼寺に龍灯を捧げることが今も続いているという。そのため、この池を夜叉ヶ池と言い、今も辺りには座禅石がある。また、天狗松と呼ばれるものもある。
資料原本と翻刻文
一 宅良慈眼寺、曹洞宗、開基ハ天真和尚也、是ハ通幻和尚之弟子也、昔、嫉妬深き女、夜叉と成り、今庄の奥の山中の池に数百年在しニ、天真和尚の道徳盛ん成しを悦、女と化して来り哀れミを乞しかハ、和尚則彼の池之辺に至り、石上ニ座して開示せられしかハ、則夜叉の姿を脱して解脱を得たり、此報謝ニ彼池ゟ慈眼寺へ龍灯を擎ける事今も有と云へり、此故ニ彼池を夜叉か池と言、今ニ池の辺ニ座禅石あり、(以下略)