越前奇談怪談集(6)白鬼女
マット・マイヤー氏のイラストと現代語訳
白鬼女川(日野川)という大河がある。いつ頃のことか、平泉寺の僧を恋い慕った女が、この川に身を投げて後、鬼女となり、この渡し場に住んでいた。これにより、川の名前になったと言い伝えられている。また、白鬼渡(しらきど)ともいう。昔は橋がかかっていたとか。宗祇著「廻国雑記」(じつは道興の著)に、次のように載っている。
白鬼渡の橋について、里人に尋ねたが、答えられなかった。
「里の名も いざ白鬼渡の 橋柱 立より問へば 波ぞ答ふる」 (この里の名もいざ知らず、白鬼渡の橋柱が立つところに立ち寄って、名前の由来を問うたが、誰も答える者はなく、川の波だけが答えてくれた)
白鬼渡の橋について、里人に尋ねたが、答えられなかった。
「里の名も いざ白鬼渡の 橋柱 立より問へば 波ぞ答ふる」 (この里の名もいざ知らず、白鬼渡の橋柱が立つところに立ち寄って、名前の由来を問うたが、誰も答える者はなく、川の波だけが答えてくれた)
資料原本と翻刻文
● 白鬼女川といふ大河あり、いつの頃にや有けん、平泉寺の僧にけさうしける女の、此川に身をなげてのち、鬼女と化して、此渡りに住しより、川の名となりぬといひ伝ふ、また白鬼渡ともいへり、むかしハ橋のかゝりけるにや、宗祇法師が廻国の記に、しらきとの橋、里人にとへ共、答ざれば、
里の名も いさしらきとの 橋柱
立よりとへバ 浪そこたふる
里の名も いさしらきとの 橋柱
立よりとへバ 浪そこたふる