越前奇談怪談集(23)若宮淵のヌシ
マット・マイヤー氏のイラストと現代語訳
むかし、吉品公が足羽川の若宮淵に大鯰が住んでいることをお聞きになり、火矢を水中に射放たれた。その帰り道、大暴風雨となったため、市波村(福井市)の本向寺にお立ち寄りになり、同寺の僧が御供してご帰城されたという伝説がある。
また、鯰が坊主に化けて、本向寺に参ったという話もある。
これらは全く事実無根の説のようであるが、吉品公が若宮淵に火矢を射放ち、また、この日の帰り道に大暴風雨があったことは間違いのないことである。しかしながら、鯰が化けたなどというのは、取るに足らない説であると、歴史書の「国事叢記」には載っている。
また、鯰が坊主に化けて、本向寺に参ったという話もある。
これらは全く事実無根の説のようであるが、吉品公が若宮淵に火矢を射放ち、また、この日の帰り道に大暴風雨があったことは間違いのないことである。しかしながら、鯰が化けたなどというのは、取るに足らない説であると、歴史書の「国事叢記」には載っている。
資料原本と翻刻文
一 昔、探源公、南川若宮淵ニ大鯰の住居せしを聞給ひて、火矢を水中ニ射放ち給ふ、帰途、大暴風雨ニてあり、市波村本光寺へ立寄らせられ、本光寺(門徒宗)御供申て帰城し給ふとかの伝説あり、又鯰か坊主ニ化して、本光寺へ参りしといふ事もあり、全く無根の説ニ似たれとも、公の若宮淵へ火矢を射放し、又此日帰途大暴風雨のありしは無間違事也、然れとも鯰の化したる抔ハ、とるにもたらさる説なりと国事叢記ニ見えたり