意外なところにふくいの資料-映画・雑誌・お菓子まで!?-
はじめに
令和6年(2024)1月19日(金)に公開された、明治末期の北海道を舞台とした映画『ゴールデンカムイ』(原作:野田サトル、監督:久保茂昭、制作:CREDEUS、配給:東宝、2024年)で、当館所蔵の地図資料が使われました。エンドロールで当館のクレジットが表示されたこともあり、「なぜ北海道の映画なのに福井県文書館?」とSNS上でちょっとした話題になりました。
今回のコラムでは、実は意外なところで使われている、ふくいの資料3点を紹介します。
今回のコラムでは、実は意外なところで使われている、ふくいの資料3点を紹介します。
1 『ゴールデンカムイ』で使用された地図
まずは改めて、映画『ゴールデンカムイ』で使用された地図資料を紹介します(上画像)。これは明治28年(1895)発行の「実測北海道全図」(A0169-02299:2コマ目)で、丹生郡南菅生浦(現・福井市南菅生町)で庄屋を務めた松田三左衛門家に残されていたものです。
石狩国などの 11 か国の表記や、映画の舞台となった小樽などの市街地図がみられます。明治 8年(1875)にロシアと締結された樺太・千島交換条約で日本領として確定した千島列島も記載されています。リンク先のデジタルアーカイブ福井では、高精細の資料画像を公開していますので、細部までじっくりご覧ください。
ちなみに松田家に残された明治期の地図としては、このほかに明治27年(1894)に発行された中国・韓国の地図や、明治41年(1908)に発行された台湾の地図があります。
2 国民的スポーツの雑誌に掲載
続いて紹介するのは、月刊『相撲』(ベースボール・マガジン社)の令和2年(2020)6月号に掲載された資料です。同雑誌では、「福井県文書館に貴重な相撲古書」の見出しで、当館所蔵資料「新板大相撲 絵尽」(N0055-00886:桜井市兵衛家文書)の内容を3ページの特集記事で紹介しています(右画像は表紙)。
2コマ目の画像は相撲場入口の様子です。画像上部分には東西の板番付がみえます。記事を執筆した記者の調査によると、これは宝暦9年(1759)4月の大坂興業のときの番付とのことです。
6コマ目の画像は幕内の取組図です。画像右側には、プロレスのバックフリップのような豪快な技を繰り出している力士の姿がみえます。前述の記者によると、これは「“
3 コロナ退散を祈願するクッキーにプリント
最後はお菓子メーカーのブルボンが発売したこちらのクッキーにプリントされている、かわいらしい(?)妖怪です。ご存じの方も多いと思いますが、令和2年(2020)に話題になった「アマビコ」と「アマビエ」です。それぞれ、「デジタルアーカイブ福井」と「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ」で公開されている画像が元になっています。(画像資料:「アマビコ アマビエ祈念クッキー缶」(株)ブルボン提供)
当館所蔵の写本「越前国主記」(A00141-00146:坪川家文書:44コマ目)の奥書には、足羽郡種池村(福井市)の豪農坪川武兵衛の弟・仁吉が写したアマビコが描かれています。「越前国主記」は多くの写本がありますが、アマビコが写されているのはこの坪川本のみです。
ブルボンは、新型コロナウイルスの根絶祈願と、感染拡大の状況を後世へと伝えるため、令和2年(2020)11月に「アマビコ・アマビエの碑」を建立しました(ブルボン公式Webサイト「沿革」)。前述のクッキーはそれを記念して販売されたものです(現在は販売終了)。
ブルボンは、新型コロナウイルスの根絶祈願と、感染拡大の状況を後世へと伝えるため、令和2年(2020)11月に「アマビコ・アマビエの碑」を建立しました(ブルボン公式Webサイト「沿革」)。前述のクッキーはそれを記念して販売されたものです(現在は販売終了)。
おわりに
当館では、令和元年(2019)の「デジタルアーカイブ福井」の稼働を機に、画像のWeb公開件数を増やし、またできる限りそれらをオープンデータとして提供できるよう取り組んでいます。この取組により画像データの二次利用の幅は大きく広がり、今回紹介したように、実に様々な場面でふくいの資料が活用されています。
デジタルアーカイブの充実は、目録作成と画像作成(撮影)という文書館本来の地道な日常業務の成果でもあります。今後も、多くの方にとって利用しやすいデジタルアーカイブにすべく、日々の業務に励んでいきます。
デジタルアーカイブの充実は、目録作成と画像作成(撮影)という文書館本来の地道な日常業務の成果でもあります。今後も、多くの方にとって利用しやすいデジタルアーカイブにすべく、日々の業務に励んでいきます。
田川 雄一(2024年2月2日作成)