松平文庫
松平文庫
「松平文庫」とは
松平文庫は、江戸時代に福井藩で作成・使用された公文書類(藩政資料)や越前松平家・福井藩校に伝来した書籍(国書・漢籍)など、一万点を超える資料群からなっています。福井県立図書館で昭和25年(1950)の開館以来、松平家より同文庫の寄託を受け、その利用と保存に努めてきました。
令和元年(2019)、寄託先が福井県立図書館から福井県文書館へ変更となりました。
松平文庫に含まれる資料群のうち、藩政資料は『松平文庫福井藩史料目録』(福井県立図書館 1989年)として、また国書漢籍は『松平文庫目録』(福井県立図書館 1968年)として目録化されています。
越前松平家について
越前松平家は、徳川家康の二男・結城秀康を祖とし、以後、松平忠直(2)、忠昌(3)、光通(4)、昌親(5)、綱昌(6)、吉品(7)、吉邦(8)、宗昌(9)、宗矩(10)、重昌(11)、重富(12)、治好(13)、斉承(14)、斉善(15)、慶永(16)、茂昭(17)と十七代続いた家で、現在の当主・宗紀氏は二十代目にあたります。
越前松平家は入封時は越前68万石を拝領し、後に石高は減少しますが、幕末には32万石を領していた大大名で、徳川御三家に次ぐ名門とされました。
また、越前松平家は「越前家」とも呼ばれ、初代・秀康の系統である出雲松江松平家、上野前橋松平家、播磨明石松平家、二代・忠直の系統である美作津山松平家、四代・光通の系統である越後糸魚川松平家など諸国松平家の本家にもあたります。
〈参考文献〉
- 舟澤茂樹『福井藩(シリーズ藩物語)』(現代書館、2010.11)
- 舟澤茂樹「福井藩略史」(『福井城下町名ガイドブック』歴史の見えるまちづくり協会、2001.11)
- 舟澤茂樹「福井藩のあゆみ」(『歴史を受けつぐまちづくりセミナーの記録』歴史のみえるまちづくり協会、2002.3)
- 舟沢茂樹『福井城下ものがたり』(福井PRセンター出版事業部、1976.7)
- 舟沢茂樹『福井藩盛衰記(えちぜん豆本28)』(えちぜん豆本の会、1971.5)
- 金井圓「福井藩」(『新編物語藩史6』新人物往来社、1976.11)
- 三上一夫『福井藩の歴史』(東洋書院、1982.3)
- 『稿本福井市史 上巻』第三篇「藩政」(福井市、1941.5→復刻版・歴史図書社、1973.1)
- 『福井市史 通史編2』(福井市、2008.6)
- 『福井県史 通史編6』(福井県、1994.11)
- 『福井県史 通史編4』(福井県、1996.3)
松平文庫寄託の経緯
福井県立図書館が松平家別邸・養浩館庭園隣の「お泉水」の地に創立されたのは昭和25年(1950)の春のことでした。
同年10月、松平家十九代当主の康昌氏のご厚意により、当時松平家で保管されていた国書漢籍ならびに藩史料の一部が、県立図書館に寄託されることになりました。以後、幾度かの追加寄託を受け、松平文庫は現在の姿になっています。
この間、県立図書館では昭和43年(1968)に『松平文庫目録』、平成元年には『松平文庫福井藩史料目録』を刊行し、あわせて複製本も作成するなど、近世史研究や自治体史編さんの根本史料として利用に供してきました。
令和元年(2019)11月、寄託先が県立図書館から文書館となりました。
松平家伝来の資料
越前松平家に伝来した資料は現在、以下の4つの文庫に分かれて3つの資料保存機関に収蔵されています。
- 松平文庫:藩主家所蔵本と藩校蔵書一部および藩庁関係の古文書(福井県文書館に寄託)
- 越国文庫:藩校(明道館・明新館)蔵書大部分(福井市立図書館所蔵)
- 越葵文庫:松平家本家に伝来した藩主の遺品・遺文、什器など美術工芸品(福井市立郷土歴史博物館に寄託)
- 福井市春嶽公記念文庫:第16代藩主慶永(春嶽)関係の文書、記録、什器(福井市立郷土歴史博物館所蔵)
※2と4については、それぞれ詳細な目録が刊行されています。
松平文庫目録
松平文庫の目録はこれまでに二度刊行されてきましたが、現在、若干の訂正を加えたものを「デジタルアーカイブ福井」で検索・閲覧することができます。一部の史料は画像を公開しており、利用したい資料に複製本があるかどうかも調べることができます。