明治11(1878)年8月、幕末の歌人・橘曙覧の遺稿集として、長男・井手今滋によって刊行されました。曙覧生前の自撰歌を中心に860首が収録されており、有名な「たのしみは…」で始まる独楽吟も収められています。曙覧は生前には歌集を出せませんでしたが、この歌集によって多くの文学者たちの評価を得るところとなり、その名は全国に広まりました。1994年、天皇皇后両陛下訪米の際、歓迎式典でビル・クリントン大統領(当時)のスピーチに、曙覧の歌が引用されたことは有名です。当館所蔵本は与謝野礼厳から息子で歌人の与謝野鉄幹(寛)に引き継がれたもので、鉄幹の妻・与謝野晶子の蔵書印も押されています。
デジタルアーカイブ福井で、見ることができます。また水島直文・橋本政宣/編注『橘曙覧全歌集(岩波文庫)』(1999年、岩波書店)、辻森秀英/増補『新修 橘曙覧全集』(1983年、桜楓社)などで、全文を読むことができます。