企画展示「未来へ残すふくいの公文書-「神社明細帳」から「はぴりゅう」までー」
開催期間・場所 | 2024年6月28日(金)~2024年8月28日(水) 9:00~17:00 福井県文書館閲覧室(入館無料) |
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関連イベント | 2024年8月10日(土)16:00~17:00 ゆるっトーク「明治時代の公文書からみるふくいの地名」(福井県文書館研修室) |
概要 | 福井県文書館では、歴史資料として重要な公文書(歴史的公文書)約70,000冊を収蔵しています。本展示では、歴史的公文書および周辺の資料を通して、明治~平成の県政の一端を振り返ります。2018年(平成30)に開催された「福井しあわせ元気国体・障スポ」の関連文書も取り上げ、公文書を未来へ残し活用していく意義を考えます。 |
展示資料 | 展示資料一覧表PDF |
目次

1. 明治時代の公文書(旧福井県庁文書)
戦前に福井県が作成した文書は、福井空襲とその後の福井地震によって失われ、残念ながらほとんど残されていません。今回紹介する「旧福井県庁文書」は、戦前の県の公文書としては大変貴重な資料の一つです。ここでは、このうち明治時代に国の宗教行政推進のために作成された「神社明細帳」を中心に紹介します。
資料1. 神社明細帳の原簿

県の「神社明細帳」の元になった簿冊です。各戸長役場から提出された明細書を綴じた原本綴で、郡役所から県庁(当時は石川県庁)に提出されたものと考えられます。
県内11郡の原簿のうち、こちらが唯一現存しています。
(1879年(明治12)「越前国大野郡神社明細帳」旧福井県庁文書(当館蔵)A0300-00037 )
資料2. 大野郡の神社明細帳

資料1を元に県で作成された大野郡の神社明細帳です。社格、祭神、由緒、建物等の情報が書かれています。朱筆による訂正や貼紙による追加がみられ、何度も書き継がれてきたことがわかります。
展示資料の「
(1879年(明治12)「越前国大野郡神社明細帳 弐冊ノ内壱」旧福井県庁文書(当館蔵)A0300-00008)

篠座神社(絵葉書)
(戦前に撮影(写真番号30116)原本:福井県立図書館蔵)
資料3. 神社明細帳の追加帳簿

神社明細帳を補足する簿冊で、6社の明細が綴られています。展示部分には「昭和二十一年三月八日福井県保管神社明細帳ニ登載ヲ許可セラレ分離復旧」の記述がみられ、戦後も現用公文書として神社明細帳を管理していたことがわかります。
(年未詳「神社明細帳追加ノ部」旧福井県庁文書(当館蔵)A0300-00023)
資料4. 福井市の神社明細帳

展示部分は柴田神社。祭神は「柴田勝家霊」で、由緒は江戸時代の地誌「
それによると「昔から奇怪なことがあったため、勝家の霊魂を祀って小祠を建てた」とあります。
(1879年(明治12)「越前国福井市神社明細帳 全」旧福井県庁文書(当館蔵)A0300-00002)

柴田勝家の亡霊
(イラスト:マット・マイヤー氏)
資料5. 足羽郡の神社明細帳

展示部分は春日神社(創建時は
(1879年(明治12)「越前国足羽郡神社明細帳 全」旧福井県庁文書(当館蔵)A0300-00003 )
資料6. 「明治の大合併」の調査資料

1888年の「市制」「町村制」公布にあたり県で作成された文書。町村合併の案や新しい町村名選定の理由が書かれています。
このときに生まれた町村名は、現在でも地域名や小学校区、公民館・コミュニティセンターの管区として残っています。
(1888年(明治21)「新村撰定事由調」【複製資料で全文閲覧可能】旧福井県庁文書(当館蔵)A0300-00001 )
このとき生まれた新しい村名とその由来(例)
麻生津 村…旧郷名の「アソウヅ」から- 注)「麻生津」「浅水」「あさむつ」など同名異字があるが、古来より麻の産地だったことから「麻生津」を採用した。
- 春江村…旧郷名の「春近」と「
江留 」の頭文字 - 東十郷村…村内をうるおす「十郷用水」から
- 味真野村…構成する旧村のうち最も古い郷名から
- 南日野村…日野山の南方に位置することから
内外海 村…旧村名の「内浦」と「外浦」の頭文字
幻の「西十郷村」

現在の坂井市坂井町とあわら市にまたがる地域で、十郷用水流域の西側にあることから名付けられました。結局は該当地域の戸長らの反対によって「本荘村」と「大関村」に分離し、この「西十郷村」の成立は幻に終わりました。
(1888年(明治21)「新村撰定事由調」旧福井県庁文書(当館蔵)A0300-00001 )
1章展示パネル
2. 昭和・平成の公文書(歴史的公文書)
福井県文書館では、県が作成・取得した公文書の中で歴史的な資料として重要なものを「歴史的公文書」として選別し、移管しています。ここでは、当館が所蔵する約7万冊の「歴史的公文書」の中から、特徴的なものを6点選んで紹介します。
資料7-1. 戦前の都市計画

都市計画地方委員会は、戦前の都市計画法にもとづいて各都道府県に設置された旧内務省の出先機関です。福井県では、まず1929年に福井市とその近隣7か村にわたる地域が「福井都市計画区域」として認可されました。
(1928~1940年「自昭和3年至昭和15年庶務雑件(都市計画福井地方委員会)」歴史的公文書 簿冊番号329【複製資料を館内で全文閲覧可能】)
資料7-2. 風致地区指定の参考資料

風致地区指定(パネル参照)について内務省に諮った際の添付資料です。内務大臣からの文書の写し、地区の位置、指定理由、沿革などがまとめられています。また、御本城橋や御廊下橋、足羽川の桜並木の当時の姿が白黒写真で掲載されています。
(1928~1940年「自昭和3年至昭和15年庶務雑件(都市計画福井地方委員会)」
歴史的公文書 簿冊番号329(文書番号22)【複製資料を館内で全文閲覧可能】)
資料8. 福井県復興宝くじ

都道府県主催としては全国初の宝くじである「福井県復興宝くじ」の発行計画です。粗悪な紙で作成され、文字もかすれのため読みにくい資料です。このように、資料の状態からも物資が十分でない当時の様子を感じとることができます。
(1946年(昭和21)「福井県復興宝くじ」歴史的公文書 簿冊番号61【複製資料を館内で全文閲覧可能】 )
宝くじの賞金

宝くじの発行枚数と賞金(景品)に関する部分です。くじは1枚10円で、200万枚を発行予定でした(総額2,000万円)。賞金は1等1,000円をはじめ、自転車チューブ、石鹸などが計画されていました。
(1946年(昭和21)「福井県復興宝くじ」歴史的公文書 簿冊番号61(文書番号1)【複製資料を館内で全文閲覧可能】 )
資料9. 芦原町大火の記録

1956年4月23日に芦原町で発生した大火に関する簿冊です。時間の経過とともに県の対応が進む様子が記され、知事をはじめ県庁各課が国の各省庁に対して復興支援の要望に奔走した様子を知ることができます。
(1956年(昭和31)「芦原町大火」歴史的公文書 簿冊番号58【複製資料を館内で全文閲覧可能】)
【掲載部分】火災発生当日の対応

火災発生当日の動きが時系列で書かれています。避難所の設置や炊き出し、消防タンク車による飲料水の給水など、現地での対応も知ることができます。要望事項では必要物資の地下足袋、ちり紙、木炭などの急送が挙げられています。
(1956年(昭和31)「芦原町大火」歴史的公文書 簿冊番号58(文書番号1)【複製資料を館内で全文閲覧可能】)
資料10. 県有財産処分に関する文書

県が行政上の目的をもって建てた建物は県有財産として位置付けられます。しかし、その目的の終了や施設移転などにより、建物が不要になることがあります。この場合、県有財産は処分されることになり、本資料のような簿冊が作成されます。
(1957~1958年(昭和32~33)「建物工作物立木処分」歴史的公文書 簿冊番号4326 )
あの門も処分対象だった

福井県若狭事務所の施設移転にともなう建物処分に関する部分。このとき事務所の建物は公売にかけられることになっていました。しかし、その中には小浜藩の学問所の遺構である「旧順造館正門」が含まれていました(詳細はパネル参照)。
(1957~1958年(昭和32~33)「建物工作物立木処分」歴史的公文書 簿冊番号4326 )
資料11-1. ふくいブランドの始まり

1989年から始まった「特産ブランド化推進事業」。「越前がに」「越前おろしそば」「福井梅」「若狭牛」「越前水仙」「昇竜まいたけ」などが特産品として知名度を上げていく初期の過程がわかる簿冊です。
(1990年(平成2)「福井特産ブランド化」歴史的公文書 簿冊番号11235 )
資料11-2. 福井県特産ブランドマーク」を掲載したパンフレット

(「福井特産ブランド化」の簿冊に綴込み)
資料12. 恐竜博物館の設計図面

この簿冊には、恐竜博物館の第7回建設準備委員会に提出された設計図面が綴られています。他に類を見ない奇抜な建築デザインを生み出したのは、日本を代表する建築家・黒川紀章氏。図面下部には、黒川氏の事務所名や印影が見られます。
(1998年(平成10)「恐竜博物館建設準備委員会」歴史的公文書 簿冊番号26472 )
※黒川紀章(Kisho Kurokawa 1934-2007)……日本の建築家(一級建築士)。1986年にフランス建築アカデミーのゴールドメダルを受賞。代表作は「
2章展示パネル
3. 「福井しあわせ元気国体・障スポ」関連資料
福井県文書館は2019年(平成31)4月、「福井しあわせ元気」国体・障スポ実行委員会より、約1,000点の簿冊と約400点の関連資料を受け入れました。これらは現在整理中ですが、将来的には目録を公開していく予定です。ここでは資料の一部を紹介します。
資料13. 第23回国体 種目別プログラム(1968年;昭和43)

資料14. 第23回国体 開会式・閉会式プログラム(1968年;昭和43)

資料15. 開催申請 国体開催推進(内々定)(2009~2010年;平成21~22)

資料16. 国民体育大会開催内定書(2013年;平成25)

資料17. 大会愛称・スローガン選定部会(2011年;平成23)

資料18. マスコットキャラクター関連(2012~2013年;平成24~25)

資料19. 国体・障スポ公式ポスター(2017年;平成29)

3章展示パネル
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