第1回 館蔵資料紹介展示

開催期間・場所2024年12月20日(金)~2025年3月9日(日)
9:00~17:00 福井県文書館閲覧室(入館無料)
概要 福井県文書館の所蔵資料群(家文書などの館蔵資料群)は約80あり、多様な資料からなっています。これらの館蔵資料群はデジタルアーカイブ福井で公開されているものの、実物を目にする機会は限られています。
そこで、特定の館蔵資料群を紹介するコーナーを設置し、文書館に寄贈・移管されている資料を、資料群ごとに数点ずつ不定期で紹介します。第1回展示では福井市域(A地域)を出所とする3つの館蔵資料群の主な資料を展示します。なお今後は、対象地域を変えて実施する予定です。

第1回 館蔵資料紹介展示 展示風景

目次

  1. 中村綱吉家文書
  2. 福山正人家文書
  3. 森永与右衛門家文書


1. 中村綱吉家文書 ―福井市―

 中村綱吉家の所在する丹生郡別畑村(現福井市別畑町)は、越知山の北東に位置します。江戸時代の石高は25石余です。中村綱吉家当主は代々甚兵衛と称し、江戸時代には丹生郡別畑村の庄屋を務めました。
 別畑村が幕府領であったときの村明細帳のほか、三河西尾藩領であったときの年貢割付状などの年貢関係資料や宗門人別改帳が複数あります。また祝儀覚などの私家文書を含みます。

資料:越前国丹生郡別畑村差出明細帳

資料:越前国丹生郡別畑村差出明細帳

 1761年(宝暦11)8月に丹生郡別畑村が作成し幕府側に提出された、村明細帳の控です。 別畑村の村高のほか、同村の山林および定納の山手永(諸負担の一種)、村の生業などについての記述があります。
(A0049-00001)

資料:未年免定(越前国丹生郡別畑村)

資料:未年免定(越前国丹生郡別畑村)

 未年の1775年(安永4)に三河西尾藩代官の中村政右衛門が丹生郡別畑村に宛てて発給した免定(年貢割付状)です。 当時、越前国内では別畑村など37か村が西尾藩領となっていました。
(A0049-00007)

2. 福山正人家文書 ―福井市―

 福山正人家の所在する足羽郡安保村(現福井市安保町)は、城山の支脈安保山の東麓に位置します。安保村は江戸時代を通じて福井藩領で、1889年(明治22)に麻生津村の大字となりました。
 福山家は安保村の村役人を務めていたとみられますが、未詳です。資料群には、1598年(慶長3)の「越前国足羽南郡安部村御検帳」や、文化年間から1876年(明治9)までの出来事を記録した「記録帳」「機憶帳」など冊子体の記録資料を含みます。

資料:越前国足羽南郡安部村御検地帳

資料:越前国足羽南郡安部村御検地帳

 1598年(慶長3)に豊臣政権下で行われた太閤検地のさいに作成された安保村の検地帳です。村内田畠に「永荒」、作人に「失人」と注記されたものが多く、中世から近世への移行期には農業生産が不安定であったことが窺えます。
(A0006-00001)

資料:記録帳(弘化-明治9)

資料:記録帳(弘化-明治9)

 1858年(安政5)2月25日の夜に発生し、飛騨・越中に大被害をもたらした飛越地震についての記述があります。この大地震により、福井城や城下でも損害が生じていること、また同月29日まで福井で余震が続いたことがわかります。
(A0006-00031)

資料:機憶帳(文政4-天保)

資料:機憶帳(文政4-天保)

 重要な事柄を「機憶(記憶)」するために書き継いだ半長帳形式の資料です。 1837年(天保8)は、前年の大凶作を受け福井藩が酒造を禁止するほど食料が不足した年でした。この年に食料とした野草類と調理法が記されています。
(A0006-00034)

3. 森永与右衛門家文書 ―福井市―

  森永与右衛門家の所在する吉田郡殿下村(現福井市殿下町)は荒川中流左岸に位置します。江戸時代を通じて福井藩領で、1889年(明治22)に岡保村の大字になりました。森永家は与右衛門を名乗り、庄屋などを務めました。
「慶長御城下絵図」と「天保福井御城下絵図」は、慶長期および天保期の福井城下を描いた絵図の写です。「浅井氏印」の印影があり、側向そばむき 頭取から目付となった福井藩士浅井八百里(政昭)の子息権十郎(政由)のものであったことがわかります。

資料:慶長御城下絵図

資料:慶長御城下絵図

資料:天保福井御城下絵図

資料:天保福井御城下絵図

 

会場位置MAP

会場_文書館閲覧室